ベースを指弾きで練習していると「10分で前腕がパンパン」「曲の終盤で指がつる」「スタジオの音量に負けまいとして力任せになってしまう」といった悩みが出がちです。
私もはじめはそうでした。音量を稼ごうと強く弾き、練習の途中で手が動かなくなって冷や汗…という苦い経験があります。
けれど、疲れには必ず原因があり、正しい整え方を知れば長く、心地よく弾けます。この記事では「疲れる原因」と「改善法」など、今日から実践できる手順で説明します。
指弾きで疲れやすい典型的な原因
力みすぎ
一番ありがちな元凶が「力み」。音をしっかり出そうとして指先・手首・前腕に過剰なテンションをかけると、最初の数分は鳴るものの、急速にスタミナが尽きます。
とくにドラムとギターが大音量のリハでは「埋もれたくない」気持ちが働き、無意識に握力でねじ伏せる弾き方になりがち。結果、音は固く、ノイズも増え、しかも疲れる…と悪循環に陥ります。
フォームの崩れ
フォームが崩れると、必要のない筋肉が働き続けます。典型例は三つ。
- 手首の角度:極端な屈曲や背屈は腱に負担。真っ直ぐ〜わずかなカーブが目安。
- 指の入りすぎ:弦を深追いすると復帰動作が大きくなり、スピードも落ちます。
- 姿勢の乱れ:猫背や肩すくめで僧帽筋が緊張し、指先まで硬直。座奏でも立奏でも「みぞおちの前が広い」状態をキープ。
音楽教室でよくあるケースは“椅子が低すぎ問題”。座面を上げ、足裏全体が床に着く高さにすると、上半身が立ち上がり、腕がぶら下がる位置に戻ります。
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弦高の高さ

セッティングも侮れません。弦高が高いと、押弦も右手のプルも余計なトルクが必要になります。買ったまま・久々の弦交換後・季節変化でネックが動いた時期は特に注意。
ブリッジで弦高を下げる、ネックの順反りを軽く戻す、ナット溝を見直すだけで別楽器のように軽くなります。
リペアに出せば短時間で済み、費用対効果は抜群。指先の努力で解決しようとする前に、機械的抵抗を減らす視点を持っておきたいところです。
疲れにくいフォームと改善方法

まずは「支点・動点・余白」を整理します。支点=親指、動点=人差し・中指、余白=肩と肘の遊び。どれか一つでも固まると、連鎖的に疲れます。
- 親指の置き方
ピックアップやE弦に“軽く”置き、ポジション移動に合わせて滑らかに動かす(ムービングアンカー)。親指を押しつけない。親指の爪先が白くなるほど圧をかけていたら要修正。 - 指先の当て角
弦に対してやや斜め。指腹7:指先3くらいの感覚で当て、弦を“押し出す”のではなく“撫でる→通過させる”。深く刺さない分、戻りの距離が短くなり、テンポ上げでも疲れにくい。 - 肩・肘の重さを落とす
深呼吸しながら肩甲骨を一度上げ、吐きながらストンと落とす。肘は体側から拳一つ分離し、肘裏に空気のクッションがあるイメージ。これだけで指先の微細なコントロールが効きます。 - 手首の中立位
手首は反りすぎ・曲げすぎを避け、中立〜わずかに外側。長時間の持久にはこの角度が効きます。痛みが出る角度は即NG。 - タッチの基準化
「基準タッチ=8割の音量」を決め、必要時のみ9〜10割を使う。常に全力だと燃費が最悪。録音して波形の均一さを確認すると、力の抜き差しが客観化できます。
練習時の脱力のポイント
脱力は“何もしない”ではなく“必要な分だけ働かせる”こと。実践しやすい手順を三つ。
- 握って離す:5秒強握→一気に解放→その余韻を保ったまま1小節だけ弾く。体が「いまの脱力が正解」と覚えやすい。
- 呼吸メトロノーム:吸う2拍・吐く2拍で8小節。呼吸が浅いと肩が上がるので、フレーズより呼吸を先に整える。
- 区切り練習:8小節弾く→2小節完全停止→再開。停止の2小節で肩・肘・手首のチェックリストを毎回なぞる。
さらに、30分で1回は立奏⇄座奏を切り替えると、同じ筋肉への連続負荷を避けられます。水分と手首の軽いストレッチも忘れずに。
指弾きに慣れるための簡単トレーニング

ステップ0:音を置くドリル(5分)
開放弦で、人差し指だけ4分音符×2分、中指だけ×2分、交互×1分。狙いは“当てる深さを一定化”。メトロノーム60でOK。
ステップ1:均等オルタネイト(10分)
E弦→A弦→D弦→G弦と1小節ずつ移動。各小節の1拍目は少しだけ強調し、残りは基準タッチ。録音して音量差が±2dB以内なら合格。
ステップ2:弦跨ぎレガート(10分)
E→D、A→Gのように1本飛ばしで8分音符。右手の振り幅を最小に保ち、親指の支点が固まらないか確認。
ステップ3:脱力アップダウン(10分)
テンポ70で8分を4小節→テンポ90で2小節→70で2小節…と往復。速い区間でも肩と肘が浮かないかチェック。
ステップ4:実戦フレーズ置き換え(10分)
好きな曲の1フレーズを“基準タッチ”で弾き、次のループで“弱めタッチ”、次で“強めタッチ”。タッチ差を音色で操作できると、力に頼らず存在感を出せます。
セッティングの見直しチェックリスト
- 弦高:12フレットでE弦2.5mm前後から試す。ビビりが出ない範囲で低めへ。
- 弦の種類:テンションが強いゲージは疲れやすい。慣れるまで一段細いゲージを。
- ピックアップ高さ:弦に近すぎると吸い付く感覚が増えて引っかかる。
- ストラップ長:立奏で座奏と同じ手首角度になる高さへ。
- 椅子の高さ:足裏全面が接地、膝はやや下がる。座面が低いと即猫背。
よくある勘違いQ&A
- Qピック弾きより指弾きが疲れるのは体質のせい?
- A
体質より“タッチの最適化”の差が大きいです。指弾きは接触面が柔らかいぶん、深く入りすぎると抵抗が急増。角度と深さを整えれば負荷は下がります。
- Q筋トレをすれば解決する?
- A
過剰な筋トレは逆効果。必要なのは持久系の“正しい反復”。10〜20分×2セットを毎日続ける方が、フォームが壊れず効率的です。
- Q小さい手だと不利?
- A
不利とは限りません。指先の移動量が小さく済むため、省エネなタッチを身につけやすい人も多いです。ネック幅が狭めの個体を選ぶとさらに楽。
- Q長時間弾くと痺れる
- A
しびれは休止サイン。手首角度と肩の上がり、ネック角度を再点検。改善しないなら医療機関へ。無理は禁物です。
1週間のミニ練習メニュー例(持久力と脱力の両立)
- Day1:ステップ0→1(各10分)+録音チェック5分
- Day2:ステップ2→3(各10分)+ストレッチ5分
- Day3:好きな曲の8小節を“3タッチ差”でループ(15分)
- Day4:座奏中心。椅子と姿勢の最適化→録画して肩の高さを確認(20分)
- Day5:立奏中心。ストラップ長を微調整→アンプ位置を耳寄りに(20分)
- Day6:通し演奏30分(8分×3ブロック+休憩)。区切り練習を挟む
- Day7:完全オフ。翌週のセットリストだけ聴いてイメージトレ
小さな改善を一つずつ積み上げると、1週間後には“同じ音量でも疲れない”感覚が確実に残ります。
現場ですぐ効くチートシート(覚えておくと安心)
- 肩が上がったら“深呼吸2回+肘をぶらり”
- 音が固いと感じたら“指先角度を1割浅く”
- 疲れてきたら“停止2小節→フォーム点検→再開”
- 痛みが出たら“その日は終了”。痛みは努力の証ではなく、フォーム改善のサイン。
まとめ
指弾きで疲れる原因の多くは、力み・フォームの崩れ・弦高の高さという三点です。解決の順番は「抵抗を減らす(セッティング)→支点と角度を整える(フォーム)→基準タッチを作る(練習)」の三段階。どれか一つだけではなく、三つを薄く重ねるのがコツです。
ベースは腕力勝負の楽器ではありません。呼吸と重力を味方にし、必要最小限の動きで音を大きく、太く。今日紹介したチェックリストとメニューをそのまま1週間試してみてください。昨日より軽く、長く、良い音で弾けるはずです。